六櫻社式天然色印画とその三色分解ネガの保存と活用のための研究

芸術学部 映像学科 情報コース 准教授 矢島 仁
工学部 工学科 化学材料コース 教授 山田 勝実

東京工芸大学に保管されていたネガフィルムとカラープリントを調査した結果、江頭春樹の開発した「六櫻社式天然色印画」とそのためのトライパック方式の三色分解ネガ「さくら三色用フィルム」が多数含まれていることがわかった。
この写真方式の材料は1941年6月、株式会社小西六本店から発売されたが、戦争の影響で1944年までには販売が終了し、あまり広くは知られていない。

令和5年度度研究成果ダウンロード

江頭春樹は小西寫眞専門学校(現、東京工芸大学)創立時の理事であり、講師でもあった。当時の本職は小西六本店工場「六櫻社」の技師長であり、印画紙製造の専門家である。
感光膜面が容易に剥離できる特殊印画紙に発色カプラーを加え、三枚の単色発色の画像膜を重ね合わせることでカラープリントを作成する方法を開発し1940年11月「六櫻社式天然色印画法」として発表した。
昭和36年(1961年)8月江頭教授の逝去後、東京写真短期大学・江頭研究室に残されていた研究資料のうち、主に写真の資料が大学図書館に「江頭先生標本二千点」として収蔵された。
2020年ごろ、新たに何枚かの写真の撮影日が判明し、この資料が概ね1930年代から1961年までのカラー写真の開発に関わる実物資料であるらしいことが判った。
その研究成果は、2022年12月から2023年3月の期間にカラボギャラリー第10回企画展「色を記録する展」で展示し、また2024年度も同ギャラリーでアーカイブとして一部を再展示している。

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