芸術学部 ゲーム学科 教授 今給黎 隆
芸術学部 ゲーム学科 准教授 原 寛徳
本研究は、積上げ式凹凸マップの実装及び拡張に関する研究である。3Dモデルは画像から生成しているが、解像度が高くなったり、絵の模様が複雑になると、モデルの形状を計算するための時間やメモリが多くなり、幅優先探索や深さ優先探索では解の発見が困難になる。形状を計算するための探索方法について調査を行い、エニータイムビームサーチ法やモンテカルロ木探索によって、近似解ではあるが十分に正確で、高速に解を得ることに成功した。また、探索時のグラフ構造を有向グラフにすることで積み上げる順を制御する手法を提案する。
NICOGRAPH 2020 で、凹凸のある絵に関する作品を発表した。この作品は単色の3Dプリンターで印刷したオブジェクトを重ねて作成された立体的なカラーの絵である。この作品は、ディザ法を理解するための可視化という教育目的で制作を始めた。3Dプリンターで印刷した部品を下から上に積み上げることによって作品が出来上がる。この作品を制作するための挑戦は、重ねるオブジェクトの個数を減らすことである。どのようにすれば部品の数を減らせるのかということが問題となる。
この問題は、問題の設定自体が特定の作品を対象としたものであるため自明ではない。また、この作品の発展として電飾が考えられる。火山があれば赤く光らせたいし、夜の街の表現であれば電灯を光らせたくなるであろう。
このような場合は、光らせる部品を透明な部材で印刷して、下から光源で照らせば良い。この場合、透明なオブジェクトの下に不透明なオブジェクトがあると光が届かなくなるため、透明なオブジェクトは一番下に配置する必要がある。このような部品間の上下の指定は制約付き最適化問題となり、NICOGRAPH 2020での計算よりも複雑な問題となる。
江ノ島の航空写真から作成した3Dモデル
3Dプリンターでの印刷結果