シングルショット高精度位相計測透過型干渉顕微鏡の開発
工学部 工学科 教授 陳 軍
工学部 工学科 教授 豊田 光紀
光導波路や生物試料のような微小で透明な位相物体の迅速、高精度計測のため、偏光カメラを用いたシングルショット透過型共通光路位相シフト干渉顕微鏡を開発した。
位相シフト干渉顕微鏡では、干渉する物体光と参照光の間に、π/2ずつの位相シフトを導入した4つの干渉縞画像からサブナノメートル以下の精度で被検の位相を高精度で計測できる。
しかし、位相シフトを与えた複数の干渉画像の撮影が必要のため、動的な計測には不向きである。
そこで、個々の画素に異なる偏光方向の偏光板を貼り付けた偏光カメラを導入することでシングルショット位相計測を可能にした。
光導波路や生物細胞のような微小で透明な位相物体の高精度計測はフォトニクスやバイオニクスの分野で強く求められている。
我々はバイプリズムやウォラストンプリズムの横移動を用いた共通位相シフト干渉顕微鏡の研究に取り組んできた。
このシステムでは干渉する2光波がほぼ同じ光路を通過するため、振動や空気ゆらぎなどの影響をほとんど受けない。また、必要な位相シフトはプリズムの横移動で精密に導入できる。微小な位相物体を高精度で計測できることから研究や生産現場で応用されている。
しかし、ピエゾ素子でプリズムを移動させて位相シフトを導入しているため、秒程度の時間がかかる。そのため、実時間の計測には不向きであった。そこで、偏光カメラを用いるシングルショット共通光路位相シフト干渉顕微鏡を構成し、実験でその有効性を確かめたので報告する。
Experimental results for measuring polarization remaining optical fiber.