視覚障碍者のための路線バス乗車支援に関する研究
工学部 工学科 教授 森山 剛
芸術学部 インタラクティブメディア学科 教授 久原 泰雄
視覚障碍者は公共交通による移動に困難を伴うが、その主なものは、まずバス停において、たった今停車したバスが自分の乗車するバスであるか否かを判別することである。また、次に降車するバス停の接近に気づいて、降車の意志を運転手に伝えるための降車ボタンを探すことである。
そこで、①乗車バス接近を知らせるシステム、さらに②降車バス停接近を知らせるシステムを開発し、視覚障碍者に限らず初めて訪れる土地でも不自由なく路線バスを利用できるような支援ツールの実用化を行う。
①乗車バス接近を知らせるシステムと、②降車バス停接近を知らせるシステムを共に開発し、一連のバス利用者サービスとして、神奈川中央交通バスにおいて実用化することを目指す。
①の降車バス停接近通知支援を行うには、バスの現在位置(バス運転手に携帯させたGPSレシーバーが測位した緯度及び経度)とユーザー(乗客)の待つバス停の位置との間の距離を評価し、その値を閾値と比較することで実現する。
②のバス到着通知支援を行うには、ユーザーの現在位置とユーザーが降車する予定のバス停の位置との間の距離を評価し、その値を閾値と比較する。
Web標準技術を用いて提案システムを実装し大学周辺のバス経路で実験を行った結果、位置情報に誤差が蓄積する可能性や数秒の遅れが生じることを除いては想定通り機能することを確認した。
【原著論文】
土井楽斗、宮澤雅治、森山剛、位置情報サービスを用いた視覚障がい者向けのバス乗車支援システム、電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌)Vol.144, No.9, pp.880-885, September 2024
