「工藝風土」プロジェクト〜東京銀器〜

芸術学部 映像学科 助教 景山 貴史

本研究では、東京銀器の伝統工芸士である上川宗達氏を対象としたドキュメンタリー制作を通して、「ものづくり」を撮影した映像についての分析を実践的に行う。

近年、情報技術等の発達にともなって様々な映像がSNSを中心に氾濫しており、「ものづくり」の工程を記録した映像も多数製作されている。美術品・工芸品から料理に至るまで、それら「ものづくり」の映像は多様であるものの、SNS上における映像尺や用途の選択からか、多くがステレオタイプ化されているといえよう。それらは、撮影方法においても形式化が進み、映像自体も消費品としての性質を帯びている一面がある。

本研究では、こうしたドキュメンタリー映像の表現において、積極的に被写体である作り手の「眼差し」を反映すること、そして「もの自体」や「工程」に終始するのではなく、その周縁である「風土」を織り込むことによって、観客に何を伝えられるかを問いたいと考えている。

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