Investigating the Causes of Distortion in Perceived Psychological Distance
工学部 工学科 助教 加戸 瞭介
性格特性と表情が心理的距離の推定に与える影響を検討し、特に神経症傾向が知覚・認知の初期段階から処理を歪めているのかを解明することを目的としています。
本研究は、ヒトが自己に接近する物体に対して抱く「心理的距離」の推定が、知覚の初期段階から性格特性によって歪められるのかを明らかにすることを目的としました。先行研究では、不快刺激が中性刺激より速く接近すると認識されることや、神経症傾向が速度推定に影響することが示されてきましたが、本研究では顔画像を用いることで、脳内の極めて早い段階の処理における影響を検証しました。
実験では、TIPI-Jにより神経症傾向の「高群」と「低群」に分けられた計20名を対象に、画面上で接近し消失する顔画像の衝突タイミングを推定させるTTC課題を実施しました。接近速度は3パターン、表情は快・中性・不快の3種を用いました。
解析の結果、神経症傾向高群において、低速で接近する「不快表情」へのゆがみが他の表情より有意に小さいことが示されました。これは、特定の性格特性が顔処理という初期的な知覚プロセスから、生存上の脅威に敏感に反応している実態を示唆しています。
