人間の集中力低下状態を予測する脳視覚メカニズムの糾明
工学部 電子機械学科准教授 辛 徳
居眠りや考え事などによる人間の集中力が低下は学生の学力低下の原因であり、交通事故の重要な原因でもあります。
本研究では集中力の低下時に目に入った視覚情報が脳の第1次視覚野まで流れなく視床下部でブロッキングされる‘見れども見れず’現象を究明します。
人間の眼球運動を記録するとサッケードと呼ばれる急速眼球運動と眼球停留に分けられます。急速眼球運動時には眼球からの視覚情報を視床下にあるLGNがブロックし、眼球停留中には第1視覚野に視覚情報を流すことは一般的に知られています。それをLGN Gatingだと言います。
しかし、眼球停留中にも関わらず、ボンヤリや妄想などに注意を向かうと外の視覚情報が内省的な考え事に邪魔になるためLGNが外部情報をブロックする可能性が高いと思います。
このような目は開けていますが実は見ていない‘見れども見れず’現象を究明するため、本研究では集中力の低下時においてLGNが選択的な視覚情報を遮断する脳メカニズムを定常状態視覚誘発電位(SSVEP)と言う脳波を用いて検証します。
図のように被験者に30Hzで光っているLEDを見るように指示しますと脳波に刺激と同じ30Hzのパワーが見えます。それがSSVEPという脳波です。もし、我らの仮設が正しいであれば被験者が妄想を始める瞬間、SSVEPは消えるはずであると思います。
集中力低下を推定できれば色情報を用いて注意を喚起し集中力を高める研究に進める予定であります。