より創造的な芸術表現のためのルーメンプリントの科学的理解の促進—露光量と銀ナノ粒子の定量的関係に基づく色調制御—

芸術学部 写真学科 准教授 大和田 良           工学部 工学科 教授 山田 勝実

ルーメンプリントは、黒白銀塩印画紙に長時間露光を与え、現像処理をせずに定着処理することで、薄紅色や薄紫色などの色調を得る写真技法である。

前年度の研究では、この発色が直径50〜100nmの銀ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に起因することを明らかにした。2026年度は、露光量と銀量・粒径の定量的関係を解明し、科学的根拠に基づく色調制御と、より創造的な写真表現への応用を目指す。

本研究は、写真表現と化学・材料科学を横断する視点から、ルーメンプリントの露光に伴う吸収帯の変化に、銀ナノ粒子の数密度の増加、粒径の増大、凝集がどのように関与するかを検証する。

具体的には、露光条件を変えて作成した試料を対象に、蛍光X線分析(XRF)やICP発光分光分析による銀の絶対量の測定、透過型電子顕微鏡(TEM)による粒径分布と凝集状態の観察、X線回折(XRD)等による結晶子サイズの評価を行い、露光量と銀粒子の生成・成長との関係を明らかにする。併せて、現在市販されている黒白銀塩印画紙の色調再現に関するデータを拡充し、販売が終了した印画紙や使用期限を過ぎた印画紙との比較を通じて、色調再現の特徴を整理・体系化する。得られた知見を作品制作に活かすとともに、学会発表や論文、写真展・ワークショップ等を通じて研究成果を発信し、現代写真表現の拡張と銀塩写真材料の持続可能な活用に貢献する。

 

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